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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)6765号 判決 1975年3月28日

原告

園田美子

園田隆男

右訴訟代理人

川村俊雄

外四名

被告

右代表者

稲葉修

右訴訟代理人

天野一夫

外七名

主文

被告は、原告美子に対し二〇〇万円、原告隆男に対し一〇〇万円、およびこれらに対する昭和四三年二月一九日から完済に至るまで年五分の金員を支払え。

原告らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを五分し、その三を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一、原告ら

1  被告は、原告美子に対し三〇〇万円、原告隆男に対し二〇〇万円、およびこれらに対する昭和四三年二月一九日から完済に至るまで年五分の金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言。

二、被告

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

3  仮執行の宣言を付する場合は、担保を提供することを条件とする仮執行免脱の宣言。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  子宮内胎児死亡に至るまでの経緯

(一) 原告美子は、昭和三六年五月二二日に原告隆男と婚姻し、昭和四二年春ごろ第二子を懐妊し(出産予定日は昭和四三年二月二三日)、被告の開設している国立篠山病院において医師前田徹から継続的に診察を受けていたが、昭和四三年一月ごろ、同医師から骨盤位であるため、早期破水のおそれと、それにひき続いて臍帯脱出の起こる可能性があり、そうなると胎児の生命に危険が生ずるから、早期破水の場合には昼夜を問わず同病院に来るようにとの指示を受けていた。

(二) 原告美子は、昭和四三年二月一八日午前四時ごろ、就寝中に突然破水したので前田医師の指示どおり直ちに同病院に赴き、同日午前四時二五分ごろ、同病院に勤務する当直の大西清子助産婦に対し、骨盤位で前期破水し、羊水が大量に流出したこと、前田医師から前記の指示を受けていたことを告げた。

(三) そこで同助産婦は、原告美子を診察し、児心音を確認した後、同原告に対し、胎児は元気だから病室で陣痛が起こるのを待つように命じ、前田医師に同原告の来院を報告することもなく、同日午前六時の検温に際し同原告に様子を尋ねただけでそのまま放置していた。そして同日午前八時三〇分ごろになつてようやく、同病院勤務の助産婦西垣美津枝に引継をし、かつその後の分娩経過を確認するために同原告を分娩室に入れた。そして両助産婦が内診したところ、臍帯の脱出していることを発見し、又胎児の児心音も一〇〇となり既に仮死寸前となつていることを確認したので、あわてて前田医師を呼び出したが、同医師が分娩室に到着した時には、既に胎児は子宮内で死亡していた。

2  過失および相当因果関係

(一) 一般に骨盤位で前期破水の場合には、臍帯脱出の危険性があり、臍帯脱出が起つた場合には、短時間内に胎児の生命が失われるに至るのであるから、本件の場合大西助産婦は、まず原告美子を診察した後、直ちに同病院構内にいた前田医師に連絡してその診察を求めるべきであり、又コルポイリンテル等の臍帯脱出予防器具および臍帯還納器を即時使用できるよう準備するほか、極めて頻繁に児心音を聴取して胎児の状態の変化を直ちに発見し得るように注意すべきであつた。それにもかかわらず同助産婦は単に同原告の自然な陣痛を待てばよいと軽信し、右の必要な処置をとらなかつた。もし同助産婦がこのような処置をとつていたならば、前田医師としては直ちに同原告を診察して、その状態によつては、コルポイリンテル等の器具を使用して臍帯脱出を予防し得たほか、胎児の状態を児心音の聴取等により継続的に診察し、万一変調ある場合には、直ちに帝王切開等の適切な処置により胎児の生命を救いえたのであるから、本件胎児の死亡は、大西助産婦の右の処置を怠つた過失によるものといわなければならない。

(二) 又、大西、西垣両助産婦が臍帯脱出を発見した際には、直ちに適切な処置により、脱出した臍帯を還納し、胎児の死亡を防止すべきであつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、本件胎児の死亡は両助産婦の右過失によるものということもできる。

3  損害

原告らは、本件胎児の死亡により筆舌に尽し難い精神的苦痛を被つた。これを慰謝するためには、原告美子は三〇〇万円、原告隆男は二〇〇万円の支払を受けるのをもつて相当とする。

4  責任

大西、西垣両助産婦は、いずれも本件胎児死亡当時被告の開設していた国立篠山病院に勤務していたのであるから、被告は民法七一五条により原告らの被つた右損害を賠償すべき責任がある。

よつて被告は、原告美子に対し三〇〇万円、原告隆男に対し二〇〇万円、およびこれらに対する本件不法行為の翌日である昭和四三年二月一九日から完済に至るまで民法所定年五分の遅延損害金を支払うべきである。

二、請求原因に対する被告の答弁。

1  請求原因1、(一)中、原告らが昭和三六年五月二二日に婚姻した事実は不知。その余の事実および同1、(二)の事実を認める。

2  本件胎児死亡に至るまでの経緯は次のとおりであり、請求原因1、(三)中これに反する部分を否認する。

原告美子が来院して、直ちに大西助産婦が同原告を診察した時には、骨盤位で既に破水しているが陣痛はなく、羊水漏出はわずかであり、子宮口は未だ一指通過の状態で開口部が堅く、又児心音は正常であつた。そこで同助産婦は、陣痛があればすぐに連絡するように注意を与え、原告美子を病室で待機させたが、同原告から、午前六時の検温時に腹部が張るとの訴えがあつたほかは、何らの異常は無く、午前七時ころの朝食の配膳の際にも特に何の訴えもなかつた。午前八時三〇分ごろ勤務交替のため、西垣助産婦が出勤してきたので、大西助産婦は、引継ぎとその後の分娩経過を確認するために、同原告を分娩室に入れた。午前八時三五分ごろ同助産婦が同原告を内診したところ、臍帯脱出(被告の昭和四六年五月一四日付準備書面、および昭和四九年七月二日付準備書面には臍帯下垂とあるが、後に理由二、1、(三)で説示するとおり臍帯下垂とは破水前に臍帯が胎児先進部を越える場合をいうのであり本件の場合には既に破水しているのであるから、右の臍帯下垂との記載は誤りと認める)の疑いを持つたのであるが、当時子宮口は二指開大していた。そこで大西助産婦は事務当直室を通じ病院構内宿舎にいた前田医師に右の状況を伝えた(前田医師は前夜他の出産に立会い、又当日は日曜日であつたため宿舎で待機していたのである)。午前八時四〇分ごろ大西助産婦は臍帯脱出に備えて、コルポイリンテルを用意して内診したところ、臍帯脱出が確認され、かつ不規則性を伴う微弱な一〇〇程度の児心音が聴取されたため、直ちに同原告に対し経鼻式酸素吸入を開始した。そして再度内診したところ子宮口部に臍帯が触れたが拍動が無く、又児心音も聴取不能であつた。午前八時五〇分ごろ前田医師が分娩室に入り内診した結果、臍帯の拍動を触知しえず、又児心音も聴取不能であつたので子宮内胎児死亡と診断した。

3  請求原因2、(一)の主張を争う。

一般に骨盤位で不適時破水が起つた場合、臍帯脱出の危険性はあるが、その頻度はごく僅かであるから、これを予見するために、妊娠に対して度々行こうとは、かえつて感染の危険性の方が大きいので、極力避けなければならない。本件の場合、大西助産婦が原告美子を診察した時の症状においては、極力内診による感染を避け、安静待機させて陣痛の発来を待ち、自然分娩させることが適切だつたのであり、それが当時の産科医学の一般的な処置であつた。したがつて大西助産婦が臍帯脱出の疑いを持つまでの間の処置に過失はない。

4  請求原因2、(二)の主張を争う。

一般に臍帯脱出の発生から胎児の死亡までの時間は、数分のことであり、しかも本件の場合のように、一たん脱出した臍帯を開口状態が微弱な状態で還納することは不可能であつたから、本件胎児の死の結果は不可抗力によるものというべきである。

5  請求原因3の主張を争う。

胎児は民法七一一条にいう他人に当らないから原告隆男の慰藉料請求権は認められない。

6  請求原因4の主張を争う。

三、抗弁

原告らは、昭和四三年八月三〇日、国立篠山病院事務長広井弁太郎、同病院産婦人科医長前田徹宛に書面を差出し、これにより、本件胎児の死亡につき、同病院に対し、見舞金はもち論何らの請求をしない旨の意思表示をした。したがつて原告らは被告に対する損害賠償請求権を放棄したというべきである。

四、抗弁に対する原告の答弁。

抗弁を争う。

第三  証拠<略>

理由

一子宮内胎児死亡に至るまでの経緯

1  請求原因1、(一)の事実中、原告らが昭和三六年五月二二日に婚姻した事実は<証拠>によつて認められ、その余の事実および同1、(二)の事実は当事者間に争いがない。

なお<証拠>によれば、当時、国立篠山病院に勤務していた産婦人科の医師は同科の医長である前田徹医師一名であつた。

2  <証拠>を総合すると、次の事実を認めることができる(ただし一部当事者間に争いがない)。

(一)  昭和四三年二月一八日午前四時二五分ごろ、原告美子が篠山病院に来院して、直ちに大西助産婦が同女を診察した時には、同原告は骨盤位で既に破水していたが陣痛はなく、羊水漏出は僅かであり、子宮口は未だ一指通過の状態で開口部が堅く(後記二、1、(二)によれば、これは前期破水の状態である)、又児心音は正常であつた。同助産婦は、一般に、子宮口がやわらかく、開大し、陣痛を伴つていれば、臍帯脱出のおそれがあるけれども、陣痛がなければ臍帯脱出の可能性はほとんどないと思つていたので、原告美子の右の症状では、陣痛がないかぎり、臍帯脱出が起こることはないと考え、同原告に対し、陣痛があればすぐに連絡をするように注意を与えて病室で待機させた。そして午前六時の検温時と午前七時ごろの配膳時に同原告に様子を尋ねたところ、腹部が張るとの訴えと、羊水の漏出がとまらないという訴えはあつたが、特に異常はないものと判断した。

(二)  大西助産婦は、その後午前八時二五分ころ、同病院勤務の西垣美津枝看護婦(助産婦の資格をも持つ)に引継をし、かつ原告美子を内診するために、同原告を分娩室に入れた。その際西垣看護婦は、大西助産婦から同原告の症状を聞き、コルポイリンテル(羊水漏出を防ぐ器具)、および前田医師が診察する際に必要な器具類を用意した。そして大西助産婦が内診したところ、子宮口が二指開大しており、臍帯脱出の疑いを持ち、続いて内診した西垣看護婦が臍帯脱出を確認し、児心音を確めると一〇〇前後の微弱なものとなつていたので、直ちに胎児のために同原告に対し酸素吸入を開始した。そして午前八時四〇分過ごろ、同病院庶務当直を通じて同病院構内宿舎にいた前田医師に右状況を伝えた。たまたま前夜他の出産に立会い、かつ本件当日は日曜日でもあつたので就寝中であつた前田医師が、右連絡を受けてから約一〇分後の午前八時五〇分ごろ分娩室に入り、同原告を内診した結果、臍帯の拍動を触知しえず、又児心音も聴取不能であつたので子宮内胎児死亡と診断した。

二本件に関係する医学的知見および医学的処置

<証拠>を総合すると、本件に関係する医学的知見および医学的処置は次のとおりと認められる。

1  意義

(一)  骨盤位とは、胎位異常の一場合で、胎児の骨盤端が下向し、児頭が子宮底にあるものをいう(頭位が正常な胎位である。)。

(二)  前期破水とは、分娩開始以前に卵膜が破綻した場合をいう。妊娠末期における前期破水および分娩開始後の早期破水の場合は、炎症その他の原因による卵膜の脆弱化が誘因となるほか、骨盤位などの脆位異常も原因となる。前期破水と早期破水とを合せて、広義の早期破水と称することがある。

(三)  臍帯下垂とは、破水前に臍帯が胎児先進部を越える場合をいい、臍帯脱出とは、破水後臍帯が胎児先進部を越えている場合をいう。骨盤位および広義の早期破水もその原因に数えられる。

2  臍帯脱出の頻度

胎位異常による臍帯の脱出はきわめて多く、篠原、宮崎によれば、頭位の場合の0.24%に対し、骨盤位では、2.5%の脱出例があり、欧米の報告によつても、報告者によつて数値に若干のばらつきはあるが、骨盤位では頭位の一〇倍以上の頻度を示しているものが多い。又初産婦よりも経産婦が多い。

3  臍帯脱出の場合の経過

骨盤腔に進入した胎児先進部が臍帯脱出部分を圧迫すると、血行が制限されたり又は停止し、胎児は遂には仮死に陥る。臍帯動脈の拍動停止後五分ないし八分間を経過すれば、胎児の多くは死亡する。頭位では、臍帯が圧迫される危険が最も多く、骨盤位ではその危険が少なく、横位ではほとんど危険がない。

4  前期破水の場合の処置

妊娠末期に前期破水を診断すれば、患者に側臥安静を保たしめ、羊水の漏出および臍帯、小部分の脱出などの合併症を防ぎ(狭骨盤および臍位異常のため、臍帯脱出の危険が予測されるときは、側臥位が必要である)、内診を制限するとともに、消毒を厳にして、抗生物質、サルファ剤を与えて感染を予防しながら待機的に処置する。

5  臍帯脱出の予知および診断

(一)  臍帯脱出は、破水と同時に起こることが多いから、破水と同時に必ず心拍曲線を監視し、これが出来ない場合には頻回に児心音を聴取して心音の変化の有無に注意し、異常を認めた場合は直ちに内診を行なう。

(二)  胎位、骨盤位、狭骨盤、羊水過多症で破水が起こつた場合には早期に内診を行なう。

(三)  破水して臍帯が脱出の状態となれば、内診により、子宮口又は腔内に直接これを触れることができる。

6  臍帯脱出の場合の処置

最近では、子宮口全開前の臍帯脱出の場合(前示一、2、(二)によれば本件もこの場合にあたる)は、Greenhill篠原、Heinisch, Schulz, Hess, Nelson, Fenton, Crezeなどすべて帝王切開術を行なうことを支持している。帝王切開術を行なう前に臍帯の圧迫の危険が著しい場合は、骨盤高位、胸膝位をとらせるとともに助手の一人に先進部を押し上げさせ、臍帯の圧迫による胎児の窒息を防いで手術を待つべきである。

腹式の帝王切開が本症の処置として行われるようになつてから、胎児の予後は著しく良好となり、診断されたときに胎児が生存していれば胎児の死亡率は〇ないし九%にすぎない。

7  なお陣痛の有無と臍帯脱出とは無関係であり、妊娠は臍帯脱出を自覚できない。

三過失と相当因果関係

前示一、1、2、(一)のとおり、原告美子は骨盤位で前期破水の状態であつたから、前示二、1ないし3によればこの場合臍帯脱出の危険性があり、これに対して前示二、4ないし6等の適切な処置をとらなければ、胎児が死亡する危険性が大きいことが明らかである(それだからこそ前田医師も原告美子に対し早期破水(広義の)の場合には直ちに来診するように指示を与えたのである)。

ところが、前示一、2、(一)のとおり、大西助産婦は、一般に子宮口がやわらかく、開大し、陣痛を伴つていれば臍帯脱出のおそれがあるけれども、陣痛がなければ臍帯脱出の可能性はほとんどないと思つていたので(これが誤りであることは前示二、1ないし3および7に照して明らかである)、原告美子を診察した後、直ちに前示二、4の処置をとることをせず、かつ前示二、5、6の処置を前田医師がとりうるようにするために、同医師に同原告の症状を連絡すべきであつたのに、これをしなかつた点において過失があるといわなければならない。

そして、もし大西助産婦に右過失がなかつたならば、臍帯脱出は防げたかあるいは仮に脱出したとしても、これを早期に発見して、直ちに前示二、6の処置をとり、胎児の子宮内死亡の結果を回避しえた高度の蓋然性を否定することができないから(前田医師も同人に対する証人尋問においてこの可能性を否定していない)、他に特段の反証のない本件においては、本件胎児の死亡は、大西助産婦の右過失によつて生じたと推認するのが相当である。

四損害

原告らは、本件胎児の死亡により、親として第二子生誕の期待を裏切られ甚大な精神的苦痛を被つたことが明らかであるから、民法七一〇条によりいずれもこれに対する慰謝料請求権を有するといわなければならない。

そして、本件胎児の死亡について、原告美子には何の落度もなかつたこと、これに対し原告らの宥恕を得られなかつたとはいえ前田医師においては、原告らの自宅まで赴き、原告美子の要求に応じて胎児の墓参りもし、また転任の際には挨拶にも赴き、その誠意の一端を示していること、同病院の事務長においても原告らの慰謝に努めたこと(以上の事実は<証拠>によつてこれを認める)、その他本件に表われた一切の事情を総合すると、原告美子の慰謝料は二〇〇万円、原告隆男のそれは一〇〇万円と認めるのが相当である。

五責任

大西助産婦が本件当時被告の開設していた国立篠山病院に勤務していたことは当事者間に争いがない。よつて被告は民法七一五条により原告らが被つた右損害を賠償すべき責任がある。

六抗弁についての判断

被告は抗弁として原告らが被告に対する本件損害賠償請求権を放棄したと主張する。

しかしながら、原告美子作成部分については<証拠>(原告美子本人尋問の結果によれば原告隆男の署名および押印部分は原告美子において作成したと認められる)と原告美子本人尋問の結果によれば、原告美子は昭和四三年八月三〇日付で、「長い間の思索の結果、まだまだ倫理的に大きな問題が残されているのを感じながらも、あのような解答をもつて“けじめ”と致しました。」「私の接した皆様方が何事に対しても誠実であつてほしいとの願いをこめて今日八月三〇日の日にきびしい一線を画しあの苦難の日々に別れを告げ新しいものに向つて努力してゆく事を誓います。」という文言の記載されている書面を国立篠山病院事務長広井弁太郎および産婦人科医長前田徹宛に提出したことが認められるが、原告美子本人尋問の結果によれば、右各文言は、同病院において本件のような事故が今後起らないよう注意し、原告美子が再び出産できるように努力するという約束をしたことによつて、同女においても、本件胎児の死亡をいつまでも悲しみ続けることなく、前向きに将来の出産を考えるという趣旨であり、被告に対する損害賠償請求権まで放棄したものではないことが認められる。右認定に反する証人広井弁太郎の証言は同人の推測を述べたにすぎないから採用できない。したがつて被告の抗弁は理由がない。

七以上によれば、原告らの本訴各請求はいずれも前示四の各慰謝料額の限度において正当であるからこれを認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九二条本文を適用し、仮執行宣言を付するのが相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

(下出義明 藤井正雄 石井彦壽)

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